
賃貸住宅の入居者が亡くなったあと、室内に家具や家電、衣類、生活用品などが大量に残されていたら、どうなるのでしょうか。
「大家さんの建物なのだから、残された物は片付けてしまえばいいのでは?」
そう思われる方もいるかもしれません。
しかし実際には、そう単純な話ではありません。
近年、単身世帯や高齢の一人暮らしが増える中で、入居者が亡くなった後に残された家財、いわゆる「残置物」をどうするかが、大家さんや管理会社、不動産会社にとって現実的な課題になっています。
目次
入居者が亡くなったら、家具や家電は誰のもの?
国土交通省と法務省によると、賃貸住宅の入居者が亡くなった場合、賃借権だけでなく、室内に残された家具や家電などの残置物の所有権も、原則として相続人に承継されます。 国土交通省
つまり、
冷蔵庫、テレビ、ベッド、タンス、衣類、食器、生活用品などが部屋に残されていても、
「もう誰も住んでいないから処分していい」
とは限らないということです。
相続人が明確で、連絡も取れる場合であれば、家財をどうするのか確認しながら手続きを進められる可能性があります。
問題になるのは、
「相続人が誰なのかわからない」
「相続人の居場所がわからない」
「連絡をしても応答がない」
といったケースです。
こうなると、賃貸借契約の終了や室内に残された家財の処理が難しくなることがあります。
残置物があると次の入居者募集にも影響する
賃貸経営では、一つの部屋が長期間使用できない状態になることは大きな問題です。
室内に大量の家財が残っていれば、清掃や修繕にも進めません。
当然、次の入居者を迎える準備にも影響します。
国土交通省は、相続人の有無や所在が明らかでない単身者が亡くなった場合、賃貸借契約の解除や残置物の処理が困難になる可能性があり、こうした不安が大家さんが単身高齢者への賃貸をためらう要因の一つになっていると説明しています。 国土交通省
これは単なる「部屋の片付け」の問題ではありません。
高齢者が安心して住宅を借りられる環境をどうつくるかという、住宅政策にも関係する問題になっています。
国も「残置物問題」への対策を進めている
こうした状況を受けて、国土交通省と法務省は2021年に**「残置物の処理等に関するモデル契約条項」**を策定しました。
この仕組みでは、単身高齢者などが元気なうちに、死亡後の
「賃貸借契約の解除」
「残置物の廃棄や指定先への送付」
などを第三者へ委任する契約を結んでおく方法が示されています。 国土交通省
モデル契約条項の利用は法律上の義務ではありません。
しかし、入居者が亡くなった後に誰がどのように手続きをするのかを事前に明確にしておくことで、残置物処理を円滑に進めることが期待されています。
さらに国土交通省は2025年10月、モデル契約条項の活用ガイドブックを改訂しています。現在も国が普及を進めている制度だということが分かります。 国土交通省
2025年には住宅セーフティネット制度も改正
2025年10月1日に施行された改正住宅セーフティネット法でも、残置物問題への対応が進められました。
改正後は、居住支援法人の業務に**「入居者からの委託に基づく残置物処理」**が追加されています。
国土交通省は、この業務を実施する際にも「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を基本的に活用するとしています。 国土交通省
国が制度を整備していることからも、単身世帯の増加に伴う残置物問題が、今後の賃貸住宅において無視できない課題であることがわかります。
遺品整理は「捨てる作業」だけではない
ここで重要なのが、実際の室内整理です。
入居者が長年生活していた部屋には、
家具
家電
衣類
布団
食器
写真
書類
生活用品
趣味の物
など、さまざまな物が残されていることがあります。
部屋いっぱいに家財が残っている場合、
「何から手をつければいいのかわからない」
という状態になることも珍しくありません。
しかも、遺品整理では単に物を捨てればいいわけではありません。
残す物、確認が必要な物、処分する物などを整理しながら作業を進める必要があります。
特に賃貸物件の場合には、相続人や契約関係を確認せずに残置物を処分してしまうと問題になる可能性があります。
処分してよいかという法律上の判断と、実際に家財を整理・搬出する作業は別の問題として考えることが大切です。
大家さん・管理会社にとっても「遺品整理」は身近な問題
遺品整理というと、ご遺族からの依頼をイメージする方が多いでしょう。
しかし今後は、
大家さん
賃貸管理会社
不動産会社
居住支援に関わる事業者
にとっても、残された家財をどう整理するかという問題に向き合う機会が増える可能性があります。
国土交通省も2026年度、モデル契約条項を活用しながら単身高齢者等を受け入れる取り組みを支援するモデル事業を実施しています。 国土交通省
つまり、遺品整理は「亡くなった後に物を片付ける仕事」だけではなく、これからの高齢化社会や賃貸住宅の運営にも関係するサービスになりつつあります。
大量の家財整理で困ったときは
実際に部屋を開けてみたら、
「家具や家電が大量に残っている」
「家族だけでは運び出せない」
「何日かけても終わりそうにない」
「どこから片付ければいいかわからない」
そんなケースもあります。
遺品整理や家財整理は、すべてを自分たちだけで抱える必要はありません。
専門業者へ相談し、状況を確認しながら整理を進めるという方法もあります。
旭川で遺品整理・家財整理・大量の家財の片付けにお困りのご遺族、大家さん、管理会社、不動産会社の方は、住まいレスキューへご相談ください。
残された家財をただ処分するのではなく、状況を確認しながら整理を進める。
それが、これからの遺品整理でより重要になってくる考え方です。
※本記事は一般的な制度・情報を紹介するものです。残置物の所有権、相続、賃貸借契約の終了などについては個別事情によって扱いが異なるため、具体的な法的判断が必要な場合は弁護士・司法書士等の専門家へご相談ください。